【ZERBINO-ゼルビーノ-銀座店 加藤呼汰BLOG】
こんにちは。ZERBINO銀座店の加藤です。
今回は、冬の王道コート生地である「メルトン」で仕立てる圧倒的な立体感を見ていただきたくブログを書いております。
メルトン生地が持つ、他のウール素材にはないハリコシは仕立て映えすること間違いなしです。そもそもメルトンとは何?と思う方が多いと思いますが、羊毛(ウール)を織り上げた後、 フェルト化加工(縮絨しゅくじゅう)と起毛加工を施して作られるものです。 縮絨(フェルト化とも呼ばれますが)織り目をほとんど見えなくするほど、水と熱を加えて強く圧縮し、繊維を密着させる工程を挟み、 その後、起毛と呼ばれる表面の毛羽を均一にカットし、滑らかで肉厚な表情に仕上げます。 この特殊な工程を経ることで、メルトン生地は極めて高い密度とあの肉厚さとなるのです。
よく私が言うハリコシですが、このハリコシが作る身体から浮き立つ美しい曲面立体感が平面ではない、 身体の丸みに沿った曲面で美しいシルエットにしてくれるのです。 一般的な柔らかいウール生地は、身体のラインに沿ってしなやかに落ちる性質があります。 それはそれで美しいのですが、メルトンの場合は違います。 メルトンが持つハリコシは、肩や胸の丸み、衿に沿うよう、アイロンワークで一度カーブをつけられると、そのカーブを力強く保持し続けます。 これにより、コートが身体の表面で適度に浮き立つような効果を生み出してくれるのです。
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このわずかな浮き立ちが、身体の線とコートの線に空間的な余裕を生み出し、着ている時立体的かつ雄大に見せるのです。 この自立する生地としての特性こそが、メルトンコートの最大の魅力でしょう。 また、重厚感とドレープの絶妙なバランスが丁度良いのです。
メルトンは重厚なイメージですが、高品質なものは単に重いだけではありません。 この重みが、コートの裾に向かって垂直に落ちる美しいドレープを生み出すのです。 ウールの自然な艶感とメルトン特有の固さが相まって、生きた立体感が生まれると考えています。 平面的な生地では、この垂直に落ちる安定感は表現できません。 生地自体の重みとコシが相まって、着る人の動きに合わせて優雅に揺れつつも、すぐに元の美しい線に戻ろうとします。 メルトン生地は、ただ暖かいだけでなく、着る人を最も立体的に美しく見せるために生まれてきたと言っても過言ではありません。 以上、最後までお読みいただきありがとうございます。
ZERBINO銀座店
加藤 呼汰









