【ZERBINO銀座店石井ブログ】
ZERBINO銀座店の石井です。
突然の哲学か?
と思われたかたも
いらっしゃると思います。
A flower is not a flower
という坂本龍一の曲に準えた題名です。
「花非花」という白居易の漢詩を
基にした曲ですが、とても好きな曲です。
ちなみに漢詩には全く詳しくないので、
詳しい話は期待しないでください。
さて今回はこちらの生地のご紹介。
ハルステッドですが
ハルステッドではありません。
Fabric
William Halstead
PARK LANE
【Order Suit】
Custom Line:¥113,300 tax incl.
Luxury Line:¥180,400 tax incl.
品質:W100%
品番:47-4296
この服地は、
ウィリアムハルステッドとして
ZERBINOに入荷があったものです。
なので、仕上がるスーツにはもちろん
ウィリアムハルステッドの
ブランドネームがつきます。
…なのですが、よくよく見ていたところ
耳に「PARK LANE」の文字が。
これは高級生地ブランドである、
STAND EVEN【スタンドイーヴン】
社の代表的なシリーズです。
スタンドイーブンは、工場を持たない、
所謂「マーチャント」
という類のブランドです。
様々な工場へOEM生産を依頼し、
スタンドイーブンとして出しています。
日本に於いては
あまり知られてはいませんが、
企業としての創業は1885と、
かなり歴史があり、
世界的にも認められています。
中でも「PARK LANE」は、
伝統的な英国の生地づくりを残しつつ、
モダナイズしたシリーズ。
パークレーンは実在する場所で、
ロンドンの中心部にある広大な
ハイド・パークに隣接した
道のことをさします。
自然あふれる公園の隣には
高級ホテルや住宅が並びます。
伝統的な建築物と現代的なホテルとが
並んでいるこの場所は、
過去と現在とが複合した
場所だといえます。
グローバル的な視点でみると、
よく知らない方でも
「パークレーンは高級な地域」
という認識が浸透しているようです。
そこに住むのは
もちろんアッパー層ではありますが、
ロンドンの伝統に根差した、
控えめな上質さを知る人達でもあります。
そんな人たちをイメージづけるシリーズなのでしょう。
よって、ぱっと見は
目に留まる服地というわけでは
ありません。
ですが、経験上こういった、
一見普通に見えて凝った作りの服地は
非常に奥が深く、仕上がってみると
ずうっと着用していくスーツになります。
super150や180等が
普通に見られる現代の中で、
敢えて120の原毛を選択する所が
英国の富裕層らしい奥ゆかしさを
表していると言えましょう。
さて、ウィリアムハルステッドが
生産していると分かったこの服地ですが、
スタンドイーブンとはどんな関係性なのでしょう。
調べてみると同じグループでした。
SILグループといった繊維グループで、
カイノック、ジョンフォスター、ジョシュアエリス等
ラグジュアリーな工場たちを抱えています。
本国HPはこちら【リンク】
この繋がりで、
スタンドイーヴンの
控えめながらも上質な服地は、
ウィリアムハルステッドが
生産を担っているわけですね。
確かにウィリアムハルステッドは
英国精神を最も表している
毛織物メーカーの一つですから、
必然のチョイスかもしれません。
こういった背景を知ると、
段々とこの生地も魅力的に映るのではないでしょうか。
正直な所、私もこの生地の魅力に気付いたのは最近です。
現在、ZERBINO各店に在庫がございます。
仕入れの関係上、ブランドネームは
ウィリアムハルステッドがつきますが、
パークレーンは間違いなく
スタンドイーヴンのペットネームです。
是非皆様も御覧ください。
以上石井でした!